第35回
Beef or chicken?
エコノミーでは一部有料のドリンクがある。1度どういうわけかシャンペーン
が無料で振る舞われた事があり、シャンペーン好きの私がそれはタダですか、
と確かめたら、ええ、コンプリメンタリーです、と言われ、それ以来シャンペーン
はタダですか、ヘネシーはタダですか、とフリーを連発するのは止めた。
大体あれは聞きづらい。 Complimentaryを使うとぐっと優雅に聞こえる。赤ワイン
を頼むとバーではカベルネかメルローかと必ず聞かれる。カベルネの発音
はカーボネイとちょっと難しい。さて次はお待ちかねの食事。
乗客はBeef or chicken?と聞かれる。即決できない私は "May I see ?"と
頼んでアテンダントの仕事を増やしてしまうが、ある時上手の乗客がいた。隣
に座った東洋系の男性二人、全く英語が通じない。ビーフ・オア・チキンも通
じないので、困った彼女アテンダント、"クワックワッ"と言いながらパタパタ
と両腕を脇腹に打ちつける動作で鶏を表わし、"ムー"と言っては両手人差し指
を頭に立てて牛を表わし、どうにか切り抜けた。いやはや。チキンには弱虫と
いう意味があり、この言葉に異常に反応するのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の
マイケル・J・フォックスだった。クワックワッと鶏の鳴きまねを
するだけでも弱虫という嘲りとなるのでご注意。
Have a great day!
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工藤明子
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