「香港人は英語ペラペラ」はウソ?香港の英語事情
香港は1997年に中国返還が果たされるまで、100年以上の間イギリス領でした。とはいえ公用語としては英語のみだった時代を経てもなお、実際に生活のベースになっているのは広東語であり、英語を頻繁に使う地域は限られているのです。旅行の際に役立つ情報として、香港の英語事情について解説します。
外資系ビジネスマンが多く、諸外国から観光客を多く迎える香港。公用語のひとつが英語だというのもビジネスや観光上のメリットに挙げられますね。でも、実際に英語を話す人はまれであるという話を聞いたことがありませんか?
「英語で値段を聞いたらぜんぜん通じなかった。簡単な単語のはずなのに!」「自分の英語力に自信がなくなった」という声もちらほら。でも、いかに英語ペラペラな人でも自信を落とす必要はありませんよ。今回は香港の言語事情について解説します。
香港は国際色豊かな地区であり、多くの外国人観光客やビジネスマンが滞在している場所です。このような雰囲気の中、公用語が英語となれば、英会話が飛び交う光景を想像するかもしれません。
しかし英語教育に熱心なのは、貿易などに携わる香港人や、一部の富裕層に限られる話。実際には香港で英会話を聞く頻度は意外と低く、生活により強く密着するのは広東語なのです。中国人とのコミュニケーションが増す、中国大陸の内側に向かう地域ほど顕著といえるでしょう。
また、英会話のレベル自体もそれほど高いわけではなく、一般的な日本人と大差ないともいわれています。つまり英語を存分に使おうと期待に胸膨らませていると、思わぬ肩透かしを食らうことになるのです。
香港はアヘン戦争後の1842年からイギリスによる統治が進められ、1997年に中国に返還されるまで実に150年以上もの間、イギリス領として存在していました。そのため、1970年までの公用語は英語のみ。
この史実から、今でも香港在住の人は英語を話せるというイメージを持つかもしれません。しかし、香港人にとって、英語はあくまで外国であることに変わりなく、実情として英語は対外向け、日常生活上では広東語も広く使われていたのです。
香港で英語を使いたいのであれば、空港や高級ホテルなど外国人観光客・ビジネスマンが滞在する場所にいくと良いでしょう。また、香港には外資系企業が立ち並ぶ地域があり、その付近であれば英語を使う機会もあるでしょう。
しかし、庶民的な地域に昔から住む香港人には、英語があまり通じないことが多いのです。すでに述べたように表向きの公用語が英語であったとしても、それはかつての宗主国イギリスが定めていたものであり、実際に暮らす人々は広東語や北京語を使っています。
ただし、一定水準以上の教育を受けている人であれば、英語が全く話せないというケースは少ないでしょう。英語のレベルには個人差があるものの、広東語や北京語よりは意思の疎通が簡単な場合もあります。
日本でも英語教育が始まって長い年月がたつものの、純粋な義務教育や学校教育だけで英語をマスターする人は少ないものです。香港でもあくまで英語は建前上の公用語で、生活の中では広東語が主流となっていることを知っておきましょう。
※本記事の内容は、2016年10月時点の情報です。
更新日:2025/05/03