フィリピンのクリスマスに欠かせない「パロル」とは?
フィリピンのパロルは、星をかたどったクリスマスイルミネーション。クリスマスマーケットや屋台で購入し、早い地域では9月から、12月25日まで国内のあちこちをあたたかな明かりが包みます。日本でいうしめ縄のようなものでしょう。
キリスト教の国であるフィリピンは、クリスマスのシーズンが長いことで知られています。早い地域では9月、雨季や台風シーズンが終わりきらないうちからクリスマスマーケットが店を出し、街中が徐々に飾られていくのです。
特に、フィリピンで有名なクリスマスの飾りといえば「パロル」。クリスマスツリーやリースより目立ちます。フィリピンの風物詩「パロル」とは何か?詳しく解説していきます。
パロルは見た目にさまざまですが、共通しているのは「星型」をモチーフとしていること。そのまま星の形を模したものもよく見かけますが、円盤状でも中心部に星を描いたものや、万華鏡のように星を組み合わせたモチーフも。
パロルはスペイン語の「farol」を語源といわれていて、farolの意味は「ランタン」。また、キリスト教の宗教的なモチーフがベースとなっています。星型に見えるこのモチーフは実は星(star)ではなく、キリスト誕生の際に、キリストを照らした聖なる光を象徴しているのだそう。キリスト教信仰はスペイン統治の遺産の一つですが、パロルはフィリピン独特の伝統として受け継がれているのです。
クリスマスの時期になると、フィリピンではショッピングモール、学校、家庭などあらゆるところでパロルが見られるようになります。フィリピンでは、パロルを目にすることでクリスマスの雰囲気を味わうのです。
パロルは元々クリスマスの時期、日のない暗い時間に教会へ行く際、道を照らすランタンとして使用されていました。教会に飾られる期間は12月16日から25日までです。16日から24日までの間は、大人も子どもも深夜に教会に集まって、礼拝に参加します。この「深夜礼拝(ノベナ)」は、フィリピンのカトリック信者にとって重要な宗教行事とされており、フィリピンのクリスマスは決してイベント的なノリだけではないのがおわかりでしょう。
もっとも、クリスマスイルミネーションとしてのパロルは、早ければ9月ごろから約4カ月の間町を彩ります。さらに年が明けても飾りはそのまま、2月ごろまでそのままという場合も。フィリピンは1年のうち半分がクリスマス色に染まる、世界でも珍しい国なのです。
パロルは紙や竹を素材にして、中にはキャンドルやココナツオイルで火をともします。といっても最近は素材も増えてきて、基本的には何でもアリ。「カピス」という小さな貝殻は、光を通す具合がよく、素材として多く見かけます。また、中には和紙を使用してパロルを作る場合も。街から民家の通りまでを散策して、いろいろ見比べてみるのも楽しいかもしれません。
屋台やマーケット、お店で売られているパロルの中には、精巧に作られた美しい作品も多く、ランタン好きにはたまらないでしょう。日本や他国製のクリスマス飾りと比べても、個性的なデザインは秀逸です。ただし中身が電球のタイプは、フィリピンと日本とでは電圧、場合によってはプラグの形が異なるので、日本に持ち帰る場合は変圧器と変換プラグがいりますよ。
フィエスタ(お祭り)文化が豊かなフィリピンでは、パロルのお祭りももちろん楽しめます!毎年12月、ルソン島のサン・フェルデナンドで行われる「サン・フェルナンド・ジャイアント・ランタン・フェスティバル」は、パロルの出来を競うお祭りです。巨大パロルのパレードなどが見られるほか、露店もたくさん出ます。パロルのお土産探しにもうってつけでしょう。
※本記事は2017年3月時点の情報です
更新日:2025/06/16