海外旅行に出かける際、意外と見落としがちなのが食品の持ち込み制限。ビーフジャーキーが持ち込めないなどは有名ですが、どんな理由でどのようなものが制限されるのか判断が難しい場合も珍しくありません。この記事では梅を例に各国の検疫事情をご紹介します。
普段口にしている食品が、ある国には持ち込めるのに、他の国には持ち込めなかったりするのはなぜでしょうか。
農林水産省のホームページにある記載によると、輸入植物検疫は、海外から植物の病害虫の侵入を防ぐための規制とあります。つまりは国内には存在しない病原菌や害虫を蔓延させないために、各国がしいている防衛線とも言えるでしょう。
もちろん、国や地域によって農業や水産業などの環境は違うので、それぞれ検疫条件も異なります。事前に日本で検査が必要な場合もありますし、入国時に空港で検査を受けることもあります。海外に旅行する際は事前にきちんとその国の検疫事情を把握しておく必要があるでしょう。
アメリカでも本土とハワイでは検疫の制限が違います。
共通しているのは、牛肉エキス入りのカップラーメン等の持ち込みが制限されていること。
それでは梅はどうでしょう?日本の農林水産省のホームページで確認する限り、梅に関しての記載は見当たりません。
しかし、アメリカの動植物検疫所で確認すると事前の申請と持ち込み許可を証明する書類が必要のようです。
加えてグアムへの持ち込みには特定の条件が設けられています。動植物検疫所のサイトからオンラインで申請することが可能ですが、とても複雑で日本人観光客に優しい説明とは言えません。
結論としてはアメリカへの梅の持ち込みは不可能ではありませんが、申請などが面倒と言えます。
オーストラリアは世界の中でも検疫が厳しい国として有名だそうです。
基本的に動植物の持ち込みは必ず申請が必要で、梅干しやスナック菓子も例外ではありません。厳重注意で済むケースもあるようですが、申請を怠ると罰金の支払い命令が下されることもあるそうです。
オーストラリア政府発行のパンフレットには、虚偽の申告が発覚した場合には最長10年の懲役が言い渡される可能性もあると書かれています。現地の農業・水資源省のホームページには日本語での案内も用意されているので、オーストラリアに旅行に行く際は一読しておいた方が良いかもしれませんね。
イギリスの環境食糧農林省が発行するパンフレットは、分かりやすい図を交えた案内になっています。持ち込めるものは緑色のチェックマーク、持ち込みが禁止されているものには赤いバツマーク、持ち込みが制限されているものには注意マークがつけられています。このパンフレットによると、梅を含む果実全般は注意マーク。確認をして、総重量2kgまでなら持ち込みが可能のようです。
イギリスはEU諸国からの持ち込みには寛容で、その他の国からの持ち込みもオーストラリアやアメリカに比べると厳しくはないようです。
様々な国の検疫条件を梅の持ち込みの可否を例にご紹介しましたが、どの国の条件もとても複雑だったり特例があったりと一概に結論を出すことは難しいようです。
海外旅行の際に持ち込み可能な食品か判断がつかない場合には、日本の植物防疫所に直接問い合わせるか、税関の申請で食品所持の有無の欄に「はい」と答えるなどの対策を取ると良いかもしれません。楽しい旅行を台無しにしないためにも事前の準備はしっかりと行っておきましょう。