マカオのポルトガル植民地時代の風景を堪能できる観光スポット5つ
マカオにはポルトガルの存在を思わせる風景が残っています。聖ポール天主堂跡、聖ローレンス教会、聖ヨゼフ修道院、ロバート・ホー・トン図書館など、世界遺産に登録される建築物も多数。異国の人々や文化は今もなお街の至る所に残り、旅する人にも異国の情緒を感じさせてくれるでしょう。
明の時代からの交易から始まったマカオとポルトガルの歴史。1999年の返還でいったんはピリオドが打たれたものの、今でもマカオには当時つくられた貴重なスポットが数多く残っています。
アジアと西洋の文化を共に感じられるマカオならではの観光スポットをまわり、食事にもポルトガル料理を選ぶなど、心に残る旅の時間を過ごしてみませんか。
聖ポール天主堂は、現地では「大三巴牌坊」という名で知られる、代表的なマカオの歴史的建築物です。1602年にポルトガルのイエズス会により建築された当時は、アジアで最大と言われたカトリック教会でした。
アジアのパイオニアとなった教会としてヨーロッパの多くの王族から寄進を受けた天主堂は、1835年の火事によりそのほとんどを焼失してしまい、現在残っているのは正面にあたるファサード(正面口)と、それにつながる68段の階段のみです。
荘厳な石造りのファサードには、イタリア人イエズス会士カルロ・スピノラや現地に住む職人たちによる彫刻が見られます。南側に見られる彫刻は、キリスト教徒迫害で日本から逃れてきた日本人キリスト教徒によるものと言われています。
聖ラザロ教会、聖アントニオ教会と並びマカオの三大古堂のひとつとされている聖ローレンス教会。帆船時代を生きたポルトガル人たちが家族の無事を願い、その航海を左右する風が順風であるようにと祈っていたことから、広東語では「風順堂」と呼ばれています。
16世紀にイエズス会によって建てられた教会で、1846年に再建された際に、建築家トマスアキノにより西洋の教会に中国の要素が取り入れられ、マカオならではのアジアと西洋の文化が合わさったスタイルとなりました。
教会内は海の神である聖ローレンスをテーマに描かれたステンドグラスや豪華なシャンデリアなどが美しく、庭では共同墓地や十字型の墓碑も見られます。
1728年に建てられた修道院と1758年に建てられた聖堂が並ぶ聖ヨゼフ修道院および聖堂は、イエズス会が宣教師の育成を目的に設立した教会です。
非公開となっている聖ヨゼフ修道院は、その内容が大学と同等の教育課程であるとみなされ、1800年にはポルトガルの女王ドナ・マリア1世により「レアル・セミナリオ(伝道信徒団の館)」という王家の称号を与えられました。
一般公開されている聖堂は、ドーム型の天井や柱から壮麗なバロック様式が見事で、ユネスコの書籍で中国のバロック建築の代表作とも評されるほど。天井にはイエズス会を表す「IHS」の文字が見られるほか、内部には宣教師フランシスコ・ザビエルの上腕部の遺骨が祀られています。
マカオ最大の図書館として、マカオの人たちに多く利用されるロバート・ホー・トン図書館。もともとはポルトガル人が住む邸宅でしたが、1918年に香港の実業家であったロバート・ホー・トンが別荘として購入したものです。
1955年にロバート・ホー・トンが死去すると、彼の遺言によりマカオ政府に寄付されました。邸宅は改築され、1958年からは公共の図書館として使用されています。2005年には新たな棟が完成し、マカオ最大の図書館としても知られるようになりました。
淡い黄色の壁とアーチが彫られた壁が美しく、観光客も気軽に利用できます。旅の休憩がてら、貴重な書物を見に訪れるのも良いでしょう。Wi-Fiが無料で使える点もうれしいですね。
カーザ庭園とは、ポルトガルの貴族であり裕福な商人でもあったマヌエル・ペレイラが、別荘として1770年代に建てたコロニアル洋式の邸宅と美しい庭園のこと。東インド会社がスタッフの社宅に借り上げていた時期もあり、現在は東方基金会という財団の事務所として使用しています。
開放されている2階ギャラリーでは、大航海時代の貴重な芸術品を見ることができます。
※本記事は2016年12月時点の情報です
更新日:2025/04/19